2009年12月07日

異色忠臣蔵 大傑作集 池宮彰一郎氏 他について

jidai.gif 今晩は、torachiyoです。今日は「異色忠臣蔵 大傑作集 池宮彰一郎氏 他」の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN4-06-273649-7 講談社文庫 2002年12月15日発行となります。


 とにかく毎年、この時期にあると忠臣蔵を思い出さずにはいられない。(別に、実際見たわけではないが)
 しかも、TVやドラマでは忠臣蔵を特集したりするものだから、嫌でも気にかかる。
 そうなると忠臣蔵番組を見てしまい、忠臣蔵ものの時代小説などを読まずにいられなくなるようだ。(私も、そうとう嫌いな口じゃないようだ)

 最近読んだ忠臣蔵もので、本書、異色忠臣蔵 大傑作集があるが、正統派というのか、異色ではない時代小説はいままでにも何冊も読んだ。
 今回は、この異色に惹かれて本書を読んでみました。

 ここには、10人の歴史時代小説の名手による作品が収録されている。池宮彰一郎氏、安西篤子氏、神宮正春氏、火坂雅志氏など、いずれもすご腕の作家だ。

 まず、池宮氏の「千里の馬」だが、主人公は四十七氏の一人、千馬三郎兵衛が登場する。
 三郎兵衛は口数の少ない無骨な古武士のような家臣で主君の内匠頭とはうまが合わない。
 結果、三月十五日付けで浅野家を退身することとなった。
 三月十四日に内匠頭は切腹、御家は断絶となったが十五日付けで退身となるべき千馬三郎兵衛は一日違いで浅野の旧臣として討ち入りに加わることになった。討ち入った三郎兵衛は弓、刀で大働きをする。
 内匠頭にとって忠臣であったかどうかは別に、潔い義士の一人ではあるといえよう。
 私は、千馬三郎兵衛を主人公にした作品を読んだことがなかったが、なかなか無骨でしぶい義士だと思った。

 次に安西篤子氏の「残る言の葉」ですが、主人公は、大石内蔵助の妻りくの話だ。
 妻りくが子の主税への思いが良く描かれている作品で、最後に主税の辞世の句が出てくるくだりには、目からよだれが出てくる思いだ。(最近、思わず泣けた作品だ。いい)

 順に読み進む内に、本書は前に一度読んだことがあると気づいた。(老化現象というのか。家のどこかに同じものが、もう一冊あるのだろう)

 火坂雅志氏の「桂籠」を読んでいる時にはっきり思い出した。(作品の結末を知っていたのだから)
 しかし、面白い作品であるには違いない。未読の方のために、この作品については、あまり触れない。

 こうしてみると、やはり忠臣蔵ものは面白い。興味が尽きない。

 また、新たな作品を読みたいものだ。(やはり日本の年の瀬はこれだ)

 それでは、また
posted by torachiyo at 00:04| 千葉 霧| Comment(9) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月29日

人情時代小説傑作選 素浪人横丁 縄田一男選 について

jidai.gif 今晩は、torachiyoです。今日は「人情時代小説傑作選 素浪人横丁縄田一男氏選の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN978-4-10-139727-6 新潮文庫 平成21年7月一日発行となります。


 本書は先に新潮文庫から出た「親不孝長屋」「世話焼き長屋」「たそがれ長屋」など現代的なテ−マを軸に選択された時代小説アンソロジ−に続く、装い新たなテ−マアンソロジ−の第一弾ということだ。(テ−マは浪人と言うことだ)

 小説としての浪人ものは、前回も書いたとおり最近良く読んでいる。(やはり気に掛かると言うのか)
 
 収録作品は「雨あがる」「異聞浪人記」「夫婦浪人」「八辻ヶ原」「浪人まつり」の5作品だ。
 作者は山本周五郎氏、滝口康彦氏、池波正太郎氏、峰 隆一郎氏、山手樹一郎氏(どの作者も割と浪人ものが多い)

 雨あがるは前々回にも書いたので、今回ははぶきます。(しかし、ラストの雨が上がった晴れ間は、何度読んでも清々しい。実に、いい)

 滝口氏の異聞浪人記は、また、趣の違った作品で、良く作者の作品には武士道の理不尽さや残酷さを描いたものが多く、この作品も浪人としての士道の残酷を描いているようだ。
 サムライ社会の矛盾の犠牲者と言うのですか?作中で切腹をして果てた若侍の姿が何とも凄惨でもの哀しいと思う。武士として腹を斬る(或いは斬らされる)小刀が…。これほどの空しさはあるまい。

 この作品は映画にもなっている。(仲代達矢さん主演の「切腹」)
 この一作、君にも一読お奨めする。

 池波正太郎氏の夫婦浪人ですが、夫婦と言っても男同士で、池波氏の作品にはたびたびこのような人物が登場する。
 前に読んだ剣客商売でオカマの金ちゃんという侍が出ていたが、今回の男女も仇討ちをするのだが、不思議と腕がたつ。(そのようなものかも知れない。根拠は無いが)

 峰氏の八辻ヶ原も前回の孤狼の牙に収録されていた作品で、本書の中では最も現代的な作品だ。浪人らしさや置かれた状況への怒りなど、現代につながるものが感じられるようだ。

 最後の山手樹一郎氏の浪人まつりは、やはり時代小説としての面白みがあり、個人的には好きな作品だ。本書の最後にこの作品を読むと、実にほっとする。
 やはり、時代を超えて読者の要望に応える作品と言うのは実際あるようだ。

 いいものは、いいって感じかな。

 さあ、明日も時代小説を読もう。

 今宵は、これで終わり。

 それでは、また
posted by torachiyo at 19:56| 千葉 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

孤狼の牙 峰 隆一郎氏について

jidai.gif 今晩は、torachiypです。今日は「孤狼の牙峰 隆一郎氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN4-19-890063-9 徳間文庫 1994年1月15日発行となります。


 今回は、恥ずかしながら、何とも久々の投稿になります。この間のいくつもの時代小説を読むには読んでいたのですが、どうにも投稿するには、忙しい日が続きました。
 最近は、特に浪人ものを読んでいました。大坂の陣以降、特に江戸では浪人が多く見られたようだ。(現代でもそうかも知れないが)
 いったん浪人すると、なかなか士官の口が見つからない。お家お取り潰しなどと、良く時代劇では出てくるが、浅野、赤穂浪士などは最も有名な浪人と言うべきか。
 私は、どうも忠臣蔵には弱いようだ。これから暮れに向かって一度は涙を見るかも知れない。(少し不安だ。毎年のことだが)
 
 峰 隆一郎氏の作品には浪人ものが多い。本書「孤狼の牙」も浪人時代小説集といった感じの作品集だ。
 作品としては「流れ灌頂」「窮鳥を討つ」「右京ヶ原」「八辻ヶ原」など全て無名の浪人が主人公だ。しかも、峰氏の短編集は少ない。(私はあまり知らない)
 そのような意味でも本書はお買い得でもあり必読の書とも言える。(面白いぞ)

 本書に登場する浪人達は、所謂、ヒ−ロ−では決してない。どちらかというと剣は強いほうだ。作品によっては斬られてしまうが。(主人公が斬られてしまう作品をあまり知らない)
 峰氏の作品は浪人という社会的な立場での生き様というのがテ−マになっているのかも知れない。

 どの主人公も、生活にも精神的にも飢えているようで、どの作品の剣戟シ−ンも実にリアルで血なまぐさく衝撃的だ。(少し言い過ぎか)

 この手の作品を好む人には必読の一冊かも知れない。

 峰氏の作品は今後、ますます読まれるような気がしている。

 また、何か読んでみたい。

 今回は、久々なため一つ乗り切れない。困ったものだ。

 次回またよろしく。

 それでは、また
posted by torachiyo at 20:11| 千葉 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

雨上がる 山本周五郎氏について

jidai.gif 今日は、torachiyoです。今日は「雨上がる山本周五郎氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN978-4-7584-3365-5 ハルキ文庫(時代小説文庫) 2008年8月18日発行となります。


 最近、山本周五郎氏の作品を読むのは久々ですが、なかなか面白かった。

 この雨上がるは「深川安楽亭」「よじょう」「義理なさけ」「雨あがる」「雪の上の霜」の五編からなるオリジナル短編集です。いくつか前にも読んだものだが、久々であるため新鮮な感覚で読めた。

 最初の深川安楽亭は解るのだが、どうも全体的に薄暗く淀んだ湿っぽさが続きあまり好きではない。(山本周五郎氏の作品の中でも異色のようだ)

 義理なさけはむしろ作者らしい感じがあり安心できる。
 これは武家の家(八百石の御納戸奉行役)での身分を越えた恋愛小説というようなもので、小間使いのしず江と嫡子の中山甲子雄の話だ。
 それと同時に、甲子雄の母八重としず江との女性同士の義理と言うのか人情というのか、その辺にも作者の意図があるように思う。(やはり女性は立派と言うのか、私は個人的には甲子雄のような純粋で真っ直ぐさが好きだが)

 次の「よじょう」は宮本武蔵を父親の敵とねらう仇討ち話だ。
 もっとも本人はその気はないのだろうが、周りの人々が勝手に思いこんでしまう。
 主人公の岩太は侍の家(父親は武蔵に斬られた)の次男として生まれ、料理人になりたいのに、それも許されずしまいには川原でこじきとなる。(この様子を周りの人々が勝手に仇討ちと決め込んでしまう)
 武蔵は登城の行き帰りに岩太の住む川原の前で全身を緊張させ達人のみごとな構えをする。剣術など何も知らない岩太を相手に。
 そして、一度も立ち会わずに武蔵は亡くなってしまう。(岩太は小屋の中を腹を抱えて転げ回る)
 どうも作者には作られた武蔵像に対する反感があるようだ。逸話とはそのようなものかも知れないが、武蔵ファンとしては少し面白くない。

 「雨あがる」と「雪の上の霜」は三沢伊兵衛を主人公とする二作品だ。雨あがるは映画にもなった作品なのでご存じの方は多いと思う。
 侍としてよりも貧しくも心優しい一人の人間として生きる三沢伊兵衛やそれを理解し尽くしていく妻のおたよの姿はじつに感動ものだ。(もう何もいえねぇ)
 読後のすがすがしさときたら100点満点だ。(もう何もいえねぇ)

 山本周五郎氏のこの手の作品は実にいい。

 また読みたくなってしまうものだろう。

 それでは、また
posted by torachiyo at 13:07| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月13日

暗殺請負人 刺客往来 森村誠一氏について

jidai.gif 今日は、torachiyoです。今日は「暗殺請負人 刺客往来森村誠一氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN978-4-344-41280-4 幻冬舎文庫 平成21年3月25日発行となります。


 本書は「暗殺請負人 刺客街」に続く空前の時代活劇、第二騨です。
 話は、熊谷鹿之助が山羽藩の後嗣として藩邸の戻り、落葉長屋に残った家臣の一人おれんが仕事で立石家良(立石十五万石の領主、将軍の実子)のもとに赴き、屍となり長屋へ返された。(おれんは下腹部を切り裂かれ、中に慶長小判を二百枚詰もめ込まれていた)

 鹿之助は家臣の無惨な死を知り仇討ちを誓う。
 しかし、立石家には螺旋道場八剱と呼ばれる剣客集団がいた。(これが最初の敵だ)
 螺旋道場八剱とは螺旋永眠を師匠とする門弟たちで法雨五右衛門、花竜巻、月精、銭洗軍記、十時陣九郎、了戒、直里半兵衛、稗方無人の八剱だ。(いずれも恐るべき邪険の持ち主だ。だいたい決まっているようだが)

 鹿之助の妹、るい(くの一)や狐雲、長屋衆の協力により螺旋八剱の襲撃をかわす。(この辺りの八剱の技や剣戟、戦闘シ−ンは、甲賀忍法帳を思い出したが、確かに面白い。この辺が空前の時代活劇なのだろうか?)

 その後、話は家良を取り巻く背後の幕政(榊意忠)、隆元、大奥などの巨悪が明らかにされる。
 そしてまた新たな強敵が現れる。

 次の強敵は闇法師だ。闇法師は嘗て徳川家のお抱え忍者集団、影法師と戦って破れた忍者集団だが、戦国乱世の牙を磨き続けている恐るべき忍者集団だ。

 闇法師は八名。本陣暗四郎(統領)、神馬天心、蚊爪式部、虫刈永伝、一丁字右近、針ヶ谷鳥雲、忍海部源斎、呑海だ。(特技は不明。やはり恐るべき遣い手だ。このあたりにも空前の時代活劇があるようだ)

 その他にも大奥の抱える無嗅衆がいる。首領は志能、水月、陰湯、芙蓉、蛍火、いずれも艶色こぼれ落ちるばかりの容姿だ。しかし、恐るべき遣い手はもちろんだ。

 このように、鹿之助、るい、狐雲、長屋衆が対立する遣い手集団と壮絶な攻防を繰り広げるというのが大筋だ。
 
 この手の作品は登場する遣い手が、どれほどの恐るべき特技を持ち、いかに見せ、楽しませるかに関わるような気がする。

 いずれにしても、私の場合、こころ行くまで楽しんでしまった。(申し訳ないが)

 いずれ遡って第一弾も読んでみたい。

 負けるな、るい、鹿之助などと言いながら。

 それでは、また
posted by torachiyo at 14:00| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月08日

密命 巻之一 見参!寒月霞斬り 佐伯泰英氏について

jidai.gif 今日は、torachiyoです。今日は「密命 巻之一 見参!寒月霞斬り佐伯泰英氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN978-4-396-33363-8 詳伝社文庫 平成19年6月20日発行となります。

ここ一月近く、いろいろと忙しく投稿せずにいました。(夏場はどうにも忙しい)


 久々の投稿は密命になります。少し前になるがTVでもお馴染みの豊後相良藩、金杉惣三郎だ。
 最初に読んだときは、藤沢周平氏の「用心棒日月抄」に構成が似ていると思ったが、読み進うちにこれは少し違う、やはり佐伯泰英氏なのだと思った。(なかなか面白い)

 本書は密命の第一巻目にあたる。(シリ−ズものでは、だいたい一冊目が面白いようだ)
 豊後相良藩は先代より書物の収集家が続き、六万冊もの蔵書を持つ、その蔵書の中に御法度の切支丹本があるとの嫌疑を掛けられる。

 主人公(金杉惣三郎)は藩主より江戸に潜入し切支丹本の究明に当たるよう密命が下される。(ここから密命というタイトルがついた。か、どうかは解らない)

 江戸での生活は火事始末御用をつかさどる荒神屋喜八のもとに身を寄せ長屋暮らしを続けながらご禁制の切支丹本の究明を急ぐ。

 江戸の町人・職人の暮らし向きなども、なかなか面白く読ませてくれる。

 金杉惣三郎は豊後相良藩二万石の徒士組ではあるが同僚から「かなくぎ」などと陰口をたたかれるようなふぬけ者と思われていた。
 しかし、かつて城下の直新影流綾川道場に学び、日下左近とともに相良藩の龍虎として剣名がとどろいていた。(いずれが真実の金杉惣三郎であろうか)

 江戸での暮らしの中、主人公は様々な事件に関わるが、情の人金杉は熱き情を怒りとして爆発する。
 また、ご禁制本の嫌疑の裏には相良藩分家が動いていた。(こんなことがあって良いのか)

 そして、本書、最終章では直新影流、相良の虎、日下左近との壮絶な戦いがある。傷を負わされ、あわやと思ったが相良の龍、金杉惣三郎の寒月霞斬り、みごとに決まったようだ。(あっぱれ)

 寒月霞斬りは長い間の修行から得た必殺の剣だ。
 水面下から水面に浮かぶ月影を刃を返し一瞬にして断ち斬るという剣だ。

 しかし、ラストの台詞「死にはせぬ、しの…」
 そう呟きながら惣三郎の意識は薄れていった。

 この後、金杉惣三郎は大丈夫なのか?

 心許ない、結末だ。

 しかし、この後、シリ−ズは面々と続くのだから、だいじないのだろう。

 それでは、また
posted by torachiyo at 09:55| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月09日

駿河城御前試合 南條範夫氏について(その3)

jidai.gif 今晩は、torachiyo です。今日は「駿河城御前試合南條範夫氏の3回目の読後感想を投稿いたします。
駿河城御前試合とは寛永六年九月二十四日に駿河大納言徳川忠長の面前で行われた駿府城内の大試合で十一試合が行われた。今回は試合の後半になります。

 第六試合は児島宗蔵対津上国之介だ。
 駿河大納言忠長と将軍家光の関係は良くご存じのことと思うが、この試合の両者は江戸より駿府に放たれた隠密のようだ。
 一方の津上国之介は風車手裏剣の使い手だ。風車手裏剣とは相手の右肩から左腰、左肩から右腰に各々六枚ずつの手裏剣を隙間なく打ち込む技だ。(これでは避けようがあるまい。なかなか怖いぞ)
 左の肩と左の腰骨に風車手裏剣を打ち込まれた児島宗蔵が破れたかと見えたが、最後の一太刀が勝負を決した。
 試合終了直後、宗蔵は隠密として鉄砲で撃たれる。(この勝負、両者の死亡で終わった)

 第七試合は片岡京之介(二階堂流)対黒江剛太郎(未来知新流)だ。
 この勝負は宮本武蔵以上と自任する黒江剛太郎と武蔵の恐れた二階堂流(片岡京之介)の対決と言える。
 剛太郎の投げた脇差しは垂れ糸の構えの京之介の左肩に突き刺さった。が、飛竜剣を避けようともしなかった京之介の剣は剛太郎のからだに向かって打ち下ろされた。(肉を斬らせて骨を斬るというやつか?)

 第八試合は小村源之助対進藤武左衛門だ。
 進藤武左衛門は神道流極意の陣幕突きの名手。陣幕突きとは陣幕の外から敵将を刺す術に由来する。
 勝負は、武左衛門が陣幕を槍の穂先で貫いた瞬間、源之助は跳躍し陣幕の端を持って武左衛門の躰を陣幕で二重、三重に巻き付けた。
 武左衛門がやっとの思いで陣幕を切り裂き幕の外に出た瞬間、源之助の刃が首筋に一撃を加えた。陣幕突き、破れたりというのか?(あまりぱっとしない)

 第九試合は表向き栗田彦太郎義行対芝山半兵衛孝久だ。しかし、その実体は各々、身替りで彦太郎義行は父の二郎太夫信房で芝山半兵衛孝久は嫡男の新蔵久安が身替わりとして勝負にのぞんだ。(なんぼなんでも、こんな身替わり試合があるのか?残念ながら、この勝負、どちらが勝ったの負けたのなんかどうでも良くなってしまった。納得いかん。次ぎ)

 第十試合は成瀬大四郎(石切り大四郎)対笹島志摩介だ。
 笹島志摩介はどちらかというと生まれながらの色男というのか(本人のせいではないかも知れないが)成瀬大四郎との勝負の裏には女性(大四郎の妻)が関わっている。
 勝負はまず、大四郎の首が血しぶきを上げ二尺ほど水平に飛んだ。しかし、その顔には笑みを浮かべていた。その刹那、志摩介の上半身は切り落とされた墓石のようにがくりと地上に転落した。(正に、石切りの如くに。まあまあかな)

 第十一試合は水谷八弥対ト部新太郎だ。
 ト部新太郎は試合前に右肩を斬られ(後に自刃する)、試合当日は父親の晴家が立ち会ったが額を二つに割られ、八弥も左の腕を深く斬られた。勝利は八弥であったが、阿由女に短刀でえぐられ、阿由女も八弥の刀に倒れるという凄惨な最後だ。(新道流の最後というべきか)

 この御前試合に辛うじて生き残った磯田きぬ、月岡雪之介、月岡雪之介なども、この後、全てたおれることになる。
 こんな凄惨で残酷で、死人の多い御前試合がまたとあろうか。
 読み物としては面白いかもしれないが、私の感想は、ただひとつ。
 少し品がない。(こんな感じかな)

 なんか、長くなってしまった。

 今宵はここまでにしよう。

 それでは、また
posted by torachiyo at 21:33| 千葉 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月26日

駿河城御前試合 南條範夫氏について(その2)

jidai.gif 今日は、torachiyo です。今日は「駿河城御前試合南條範夫氏の2回目の読後感想を投稿いたします。
 駿河城御前試合とは寛永六年九月二十四日に駿河大納言徳川忠長の面前で行われた駿府城内の大試合で十一試合が行われた。今回は各試合の詳細を見てみたい。

 第一試合は伊良子清玄と藤木源之助の対戦だった。(詳細は前回にあります)

 第二試合は座波間左衛門と磯田きぬとの対戦で磯田きぬの仇討ちという形になった。
黒髪をぷっつりと斬り捨て白鉢巻、全身白装束のきぬは薙刀を抱え必至の覚悟を決めている。
対する間左衛門は満面創傷で眼には血に酔った妖しい快楽の色がみなぎっている。
 間左衛門には異常な奇癖があり、相手に肉体を斬られることに至上の悦楽を感じるというものだ。(かくも痛み苦しい悦楽があるとは、私もやってみたくなった)
結果は、ざくろのような脳症をみせて間左衛門がのけぞった。(この勝負、間左衛門の癖から言えばやむを得まい)

 第三試合は月岡雪之介対黒川小次郎の試合だ。
峰打ち不殺で知られる月岡雪之介は試合当初、小次郎に対しても峰打ちを決めていたが腕が伯仲する相手との試合では、心ならずも最後の一瞬に刃を以て勝負を決していた。
 月岡雪之介はわずかながら無傷で生き残った剣士の一人だ。(この勝負、わりと普通だった。オ−ソドックスと言うのか。こう言うのが、どちらかというと私は好きだが)

 第四試合は笹原修三郎対屈木頑之助の試合だ。
修三郎は長身白皙の美丈夫。いっぽう頑之助は肥満した躰に短い脚、両目の間がいちじるしく離れつぶれた鼻の下に突き出た口がある蒼黒い顔。(何という対比だ。まさにガマを思わせる。しかも、なぜか強そうだ)
 笹原修三郎は、銀蛇号(槍の名)をりゅうりゅうとしごいて身構える。
いっぽう、屈木頑之助は右膝を立て、左膝を後ろに長く伸ばし、上体を地上一尺五寸の間に低めて低く伏す。(これがガマの構えだ。強そうだろう)
 この低い位置から脚の脛をねらわれたらひとたまりもない。しかも、ガマを斬るのは至極難しい位置となろう。
結果、修三郎はあんのじょう右の脛を斬られたが、頑之助の右肩を背骨まで槍先が貫いた。(私は、最初からこの結果を予測した。ガマとの勝負は槍以外にないのだと)

 試合は終わったと見えたが、のそのそと這い出した頑之助は見物席にいた千加の胸に小柄を投げ突き刺した。しかし、背中に修三郎の銀蛇号を突き立てていたが。

 第四試合は、特に印象に残った。
屈木頑之助の容姿とガマのようなしぶとさからか。(陰ながら拍手を送ったが、やはり負ける運命なのか)

 第五試合は、鶴岡順之助吉勝対深田剛之進昌秋だ。
少し長くなったので、結果だけ言おう。
双方とも白羽を相手の頭上を目掛け叩きつけられ、二つの剣は中程から折れて、左右に撥ね飛んだ。その一瞬後、二人の剛の者は躰ごとぶつかり四つに組んでいた。
二人の脇腹に、相手の折れた刀が柄まで突き刺さっていた。
二人の獅子による壮絶な勝負と言えよう。(はずかしながら、思わず唸ってしまった)
なかなか、いい。

 今回は、ここまでにします。

 次回は、残りの勝負を紹介します。

 それでは、また
posted by torachiyo at 15:38| 千葉 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

駿河城御前試合 南條範夫氏について(その1)

jidai.gif 今日は、torachiyo です。今日は「駿河城御前試合南條範夫氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては、ISBN978-4-19-892321-1 徳間文庫 2005年発行となります。


 今回は、本書「駿河城御前試合」を何回かに分けて感想を投稿いたします。
 本書はご存じの通り「シグルイ」の原作です。

 駿河城御前試合とは寛永六年九月二十四日に駿河大納言徳川忠長の面前で行われた駿府城内の大試合と言うことだ。この御前試合は空前絶後の残忍凄惨な真剣勝負であった。

 今回は、この御前試合を順をおって詳細に見てみたい。
 試合は当日、巳の刻(午前10時)から始まった。(対戦は全部で十一試合あった)

      東側          西側       勝者
 第一試合 伊良子清玄    ×  藤木源之助    藤木源之助(その他二人自刃)
 第二試合 座波間左衛門   ×  磯田きぬ     磯田きぬ
 第三試合 月岡雪之介    ×  黒川小次郎    月岡雪之介
 第四試合 笹原修三郎    ×  屈木頑之助    笹原修三郎(その他一人死亡)
 第五試合 鶴岡順之助吉勝  ×  深田剛之進昌秋  相打ち(両者とも死亡)
 第六試合 児島宗蔵     ×  津上国之介    児島宗蔵(両者とも死亡)
 第七試合 片岡京之介    ×  黒江剛太郎    片岡京之介
 第八試合 小村源之助    ×  進藤武左衛門   小村源之助
 第九試合 栗田彦太郎義行  ×  芝山半兵衛孝久
 身替り (父:二郎太夫信房)  (嫡男:新蔵久安) 二郎太夫信房
 第十試合 成瀬大四郎    ×  笹島志摩介    相打ち(両者とも死亡)
 
 以上がこの御前試合の結果だが、試合当事者以外にこれほどの死亡者を出すと言うのは驚くほかはない。

 第一試合の伊良子、藤木の両名の師は岩本虎眼だ。(虎眼には一粒種の三重と言う美しい娘がいた。良く道場主には美しい娘がいるようだが、そのようなものか?)
 しかも、美しい娘がいると良く騒動が起きるようだ。(優れた剣客とは、そのようなものか?)

 こうして、複雑な男女の縺れを背景に試合は行われた。
 伊良子の構えは少し変わっている。どう変わっているかというと、抜きはなった一刀を、右足の指の間に、杖の如く突き立て佇立する。これを、無明逆流れと言うようだ。(こんな構えで本当に勝てるのか?少し不安だ。私が不安がることはないが)

 試合の結果は、藤木源之助の勝ち。(どう勝ったかは、読んでみないと解らない)

 そして、いくと三重の二人の女人が懐剣で胸を刺し自刃する。(理由は読んでみないと解らない)

 今回は、第一試合のみで紙面が尽きたようだ。(どのような制約なのか解らないが)

 納得のいかない点が多々あるので、しばらくは特集、駿河城御前試合としたい。

 それでは、また
posted by torachiyo at 10:25| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

おかしな大名たち 神坂次郎氏について

jidai.gif 今晩は、torachiyoです。今日は「おかしな大名たち神坂次郎氏の読後感想を投稿いたします。
 文庫情報としては ISBN4-12-202465-X 中公文庫 1995年11月18日発行となります。

 ここのところ少し忙しくて投稿が疎かになってしまいました。週に一度はというペ−スが保てなかったようです。(違法行為ではないのでしょうが)


 さて今回の時代小説ですが、今回は神坂次郎氏の「おかしな大名たち」です。
 本書は多々いる大名のなかで特に変わった個性の持ち主や異常な性格を持った大名など滑稽と言うのか哀しいと言うのか少し風変わりな人生を送った大名たちを題材にした小説集です。(なかなか面白いぞ)

 よく大名と言われる人々には残虐な暴君と言われるタイプがあるが、本書の中では「大殿様年代記」紀州家・徳川重倫「かなしい暴君」越前宰相忠直などがそのようだ。
 紀州徳川家五十五万五千石の八代藩主徳川重倫は歴代藩主の中で唯一人、大殿様とよばれたらしい。重倫は鼻高く、目が大きく髭の濃い大男で足の大きさは十二文半ということだ。
 このような大男が一代の内に家臣待女二十数人を手討ちにしたというのだ。こんな殿様が太刀を握って大暴れするのでは家臣もたいそう恐ろしかったであろう。(これこそ命がけの奉公と言うのか?)
 もう一人の松平忠直については、他の作者の作品もいくつかあるのでご存じであろう。恐ろしいと言うより、やはりかなしい暴君なのだろう。

 かと思うと、井上河内守正甫のように、ある時、小鳥狩りに出かけ、いつの間にか家臣ともはぐれ一軒の百姓家にたどり着く、そこで洗い物をしていた若女房に魔が差したというのか、いきなり躍りかかってしまった。
 しかも運悪く野良から帰って来た亭主に天秤棒で後頭部を一撃されてしまう。家臣は一件を隠し通そうと図ったが、秘密はちゃんと漏れてしまうようだ。(いつの時代もそうかも知れない)
 いつの間にか、井上河内守は“密夫大名”と呼ばれるようになってしまった。(世間というのは耳が早い)
 この件は井上河内守本人はもとより、公儀の知ることとなり、奥州棚倉(左遷の地として有名)へ転封となった。(こんな大名もいたようだ。大名以外ではもっと沢山いただろうけど)

 とにかく、こんな滑稽で哀しい大名の話がいっぱいで大変興味深く楽しめる1冊だ。

 久々に書いたら紙面の感覚が上手く把握できなかったようだ。

 だいたいこんなところですか。

 それでは、また
posted by torachiyo at 19:58| 千葉 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする